映画ポスター

米政府が落とした101個の原子爆弾 ――
核実験による放射能汚染の実態を追った受賞作

自主上映会開催受付中

監督:伊東 英朗

ナレーション:加藤 登紀子

製作協力:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会
©2023 SILENT FALLOUT

TRAILER

予告映像

INTRODUCTION

イントロダクション

静寂の中にある真実

60年前、女性たちと歯の抜けた子どもたちが、放射能から北米大陸を守った。5歳のエリックが電話を出ると、「ジョン・ケネディだけどお母さんはいるかな?」という声が――。
爆心地からわずか80キロ。ラスベガスは、キノコ雲ショーに沸いた。被曝を証明するために集まった乳歯は、実に32万本に及んだ。ハチミツから他の食品に比べ100倍の放射性物質が検出された。

作品概要

1951年からアメリカ国内で始まった大気圏内核実験は100回にのぼる。核実験によって北米大陸全域が放射能汚染され、汚染されたミルクを飲んだ全米の子どもたちが被曝した。立ち上がった女性たちの行動がケネディ大統領を動かし、ついに大気圏内核実験は中止される。もしもアメリカ国内で行われた828回の地下核実験が地上で行われていたら――北米大陸は死のエリアになっていたかもしれない。女性たちと歯の抜けた子どもたちが、放射能から北米大陸を救った奇跡の物語(事実)。

見どころ

2004年春、事件との出会いから20年を経て始まった長期取材。アメリカ、イギリス、日本をめぐる調査を通じて、被曝者や研究者たちの証言、数千ページに及ぶ機密文書が真実を浮かび上がらせる。本作は、ハンプトン国際映画祭やセントルイス国際映画祭など、29の国際映画祭で高い評価を受けている。ナレーションには、英語版にアレック・ボールドウィン、日本語版に加藤登紀子を迎え、深い余韻を残す作品に仕上がっている。

イントロダクション写真1 イントロダクション写真2

STORY

全5章からなるストーリー

核実験による明らかな大陸汚染

映画は、北西部ソルトレイクシティに住むメアリー・ディクソンの証言から始まる。さらに大気圏内核実験が100回行われたネバダ核実験場の風下地域、アメリカ政府が被曝の事実を認め補償しているセントジョージ、シーダーシティの被害者が、被曝の実態を語る。

1

放射性汚染は、北米大陸全域に広がっていた

1951年から62年にかけ、核実験ツーリズムで賑わったラスベガスからわずか80キロにあるネバダ核実験場を中心に、北米大陸全域に放射性物質が広がっていた。アメリカ原子力委員会は、被曝の実態を克明に記録。委員会は当初からすべてを知っていた。

2

子どもたちを被曝から守る女性たち

舞台はセントルイス。核実験による子どもたちの被曝の噂を聞き、女性たちが立ち上がる。被曝を証明できれば核実験を止められるかもしれない──鍵となったのは「抜けた乳歯」。子どもたちが証言し、医師であり母であるルイーズ・ライスたちは、32万本の乳歯を集めた。

3

北米大陸を救った知られざるヒーローたち

ある日、5歳のエリックが電話に出ると、「ジョン・ケネディだけど、お母さんはいるかな?」と声がした。女性たちが集めた乳歯は、子どもたちの被曝を証明。その事実を知ったケネディ大統領は、大気圏内核実験の中止を決断。アメリカは放射能の脅威から救われた。

4

続く放射能汚染と世界での被曝事件

地質学者ジェームズ・カスティ教授は、北米の現代のハチミツに核実験由来の放射性物質が含まれていることを証明。北米の汚染は国内の核実験だけが原因ではないと語る。太平洋の核実験で被曝した日本のマグロ船乗組員、モルモットにされた英兵士たちが証言する。

5

STAFF

スタッフ
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STAFF COMMENT

アレック・ボールドウィン

英語版ナレーション

私は、1990年初頭から原子力発電所に反対する活動をしてきました。その活動は、常に、映画やテレビの知的なプレゼンテーションによって支えられています。『SILENT FALLOUT』は、最も重要な問題に光を当てることができる強力な映画制作の優れた例です。

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STAFF COMMENT

ジョセフ・マンガーノ

放射線・公衆衛生プロジェクト エグゼクティブ・ディレクター

「静かなる放射性降下物:乳歯が語る」は、冷戦期の乳歯に蓄積された原爆実験の放射性降下物に関する歴史的研究を扱った初の映画です。この歯の研究結果はジョン・F・ケネディ大統領と米国上院に伝えられ、地上核実験禁止条約の成立を早めるのに役立ちました。この条約は多くの命を救いました。 この映画は、科学者と市民が協力して公共政策を強化する能力を描いています。この映画は歴史としてだけでなく、核実験の現在および将来の健康への脅威を認識する上でも重要です。米国、ロシア、中国の関係悪化により、各国は現在、実験再開に向けて実験施設を準備中です。これは数十年ぶりの実験となります。

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DIRECTOR

伊東 英朗

ドキュメンタリー映画監督/テレビディレクター

1960年、愛媛県生まれ。幼稚園教諭から‘00年、テレビの世界に転じる。‘12年、‘15年、映画「X年後」シリーズを劇場公開。‘23年、映画「SILENT FALLOUT」を製作。国際ウラン映画祭(観客)、ハンプトン国際映画祭、セントルイス国際映画祭など、28の海外映画祭で評価。第71回芸術選奨 文部科学大臣賞、日本記者クラブ賞特別賞、ギャラクシー賞大賞、日本民間放送連盟賞最優秀賞などを受賞。著書に『放射線を浴びたX年後』(講談社)がある。

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感想
  • 放射能被害の広域、地球規模、長期化の恐ろしさを知りました。このような映画を日本の学校でも上映できるといいと思いました。
  • ネバダやマーシャル諸島の汚染のことは何度か聞いていましたが、今回の映画で現実の深刻さを目の当たりにしてショックでした。アメリカでも日本でも多くの人に見てもらいたい説得力のある映画でした。
  • アメリカでも日本でも何の問題でも政府との闘いは長いなと思いました。 ソルトレイクシティの女性が死亡率の記事を集めていた場所を指して、「いっぱいあったのよ、でも憂鬱になってしまって」といった事を言ったのが印象的でした。子供の頃に周りにいた人たちがどんどん若くして亡くなって行く喪失感やなんで、という思いや色々つらい思いが積み重なって行ったんですね。
  • 原発は日本の問題と思っていたけど、世界でも問題になっていること、苦しんでいる人がいることを知らず、原発の実験がこれほど行われていたとは知らなかった
  • 放射線のもたらすもの、を知らせる。このドキュメンタリー映像に感銘を受けました。知らない事のこわさ。 アメリカだけの問題ではない全人類に関わる事。あらためて考えさせられる事ばかりでした。 このような作品をありがとうございました。ショッキングな事ばかりですが自分事として考えていきたいです。

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